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Forestier

le vent    - 君を願う -

Posted by 蘇 芳 on  



風になる
君が迷わないように

遠回りをしても
此処へ辿りつけるように

君が光に癒やしを求めるなら
星を隠す雲を払ってあげる

心が乾いて羅針が狂ったのなら
波を立て
その呪縛を解いてあげる


触れられない君に

いつも
いつの時も

その寂しさのとなりで
小さな肩のとなりで
僕は君の風になる
















Raindrops

Posted by 蘇 芳 on  



庭を打つ雨に
僕は何もできないまま
窓越しに君の花をみていた

あとからあとから降る雨は
この部屋の時間軸を狂わせる


潮騒に変わる雨
雲間から射す光
跳ね上がる波の向こうに
不意に君は現れる


眠りでもない
現実でもない
そんな不確かな世界の罠に
どうして僕は
囚われるのだろう









Le Mascaret  - 海嘯 -

Posted by 蘇 芳 on  



満ちてゆく
風が
大潮を連れて
静かな時を刻んだ


地表の営みは
空への供物のように
美しく
気高い


訪れる海
幾億の昼と夜とを従えた
荘厳なパノラマの中で
僕たちはまた すれ違ってゆく


終わらない風景
くり返す約束
あふれた想いは海嘯のように
いつか君に辿りつくだろうか














soliste

Posted by 蘇 芳 on   4 




海図に記されたのは
風のメソッド
癖のある文字で書かれた
暗号と草案

完全なルートなど無いものだよと
傷つくことさえも代償のように笑う


ああ
そうだね
いつだって平気そうな顔をして
痛みと成就は等価だと
また白い帆を立てるんだろう











夏の微かに

Posted by 蘇 芳 on  




耳をすませてごらん

聞こえるだろう
羽化する天使の翅の音が
月の引力に従う 森の覚醒が

この夜のどこかで
息づく君を想うと震える
淡翅の影


ほら
ごらん

隙を窺いながら満ちる
月齢14.9

漆黒の右手が鏃をつがえ
ぎりぎりに引き絞られた光の征矢は
風を連れ
躊躇いもなく この世界を射抜いてく


夏の微かに
浮かび上がる描線と
光が統べる
繭糸の髪を滲ませながら
君は視線を合わせ
僕の心臓を
一度だけ止めた