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Forestier

le vent    - 君を願う -

Posted by 蘇 芳 on  



風になる
君が迷わないように

遠回りをしても
此処へ辿りつけるように

君が光に癒やしを求めるなら
星を隠す雲を払ってあげる

心が乾いて羅針が狂ったのなら
波を立て
その呪縛を解いてあげる


触れられない君に

いつも
いつの時も

その寂しさのとなりで
小さな肩のとなりで
僕は君の風になる
















Le Mascaret  - 海嘯 -

Posted by 蘇 芳 on  



満ちてゆく
風が
大潮を連れて
静かな時を刻んだ


地表の営みは
空への供物のように
美しく
気高い


訪れる海
幾億の昼と夜とを従えた
荘厳なパノラマの中で
僕たちはまた すれ違ってゆく


終わらない風景
くり返す約束
あふれた想いは海嘯のように
いつか君に辿りつくだろうか














soliste

Posted by 蘇 芳 on   4 




海図に記されたのは
風のメソッド
癖のある文字で書かれた
暗号と草案

完全なルートなど無いものだよと
傷つくことさえも代償のように笑う


ああ
そうだね
いつだって平気そうな顔をして
痛みと成就は等価だと
また白い帆を立てるんだろう











夏の微かに

Posted by 蘇 芳 on  




耳をすませてごらん

聞こえるだろう
羽化する天使の翅の音が
月の引力に従う 森の覚醒が

この夜のどこかで
息づく君を想うと震える
淡翅の影


ほら
ごらん

隙を窺いながら満ちる
月齢14.9

漆黒の右手が鏃をつがえ
ぎりぎりに引き絞られた光の征矢は
風を連れ
躊躇いもなく この世界を射抜いてく


夏の微かに
浮かび上がる描線と
光が統べる
繭糸の髪を滲ませながら
君は視線を合わせ
僕の心臓を
一度だけ止めた





眠りに放つ

Posted by 蘇 芳 on  




濡羽色の髪を
ゆるい風に預けて
窓辺にうつむく項


徒に触れると嫌がる
眠れる君の頬に挨拶を交わすと
吐息に纏わりつく
ダージリンの香が揺れた


囈言


微睡みの中にまで
持ってはゆけない 嘘を置き去りにして
隙だらけの夢に支配されながら
君は此処で
何を手放すのか















Draw

Posted by 蘇 芳 on  



翠緑の淵で手に触れた
野茨の棘にキスをする
一瞬の抗いに
唇を赤く滲ませても
何食わぬ顔で視線を合わせた

殊勝なふりをして
非道いな、などと
思ってもいないくせに
見透かしたように笑うのは
今に始まったことじゃない

観念するほどの至情
タチの悪い距離感
そんなものを侍らせながら
悪ふざけだよと
一変して引潮のように遠ざかる


読めない謀
暗黙の聖域

その境界を毀したら
いったいどんな顔をするだろう       
       







out of the blue

Posted by 蘇 芳 on   2 



唐突に囁く
優しい呪縛


気化した汗から漂う
ラベンダーの香


少し首を傾ければ
聞こえる心臓の音に
安堵する
距離


out of the blue


音の無い午后に囚われた
刹那という永遠




















十二月の流線

Posted by 蘇 芳 on   6 



空を見上げる癖は
行き場のない想いを
風に乗せるため

ほんの少しの澱みも
今は手離したい
そんな幼い願いさえも許しながら
そのまま歩いてごらん と、
否定もせずに佇む人

それが君の世界なら
後悔はないだろうと
耳に馴染んだ声が一拍置いて
ささくれた心を凪いでいく


なんだ

そう云うことか


ただ 誰かに
見ていて欲しかっただけだ


我儘に描いていく流線を
しばらくは此処で
その傍らで





                  shyness











to you

Posted by 蘇 芳 on  




目を閉じて
彼女の視界を真似てみる

耳をくすぐる葉ずれ
晴れ渡る空から降りた
大気の温度

こうして
ありったけの知覚に神経を澄ませて
一日の変化を測っているのか


光を失いながらも
明日が来ることが 当たり前のように
また
彼女は笑うんだろう

私とは違う
純粋な人

Happy Birthday, mom.









Posted by 蘇 芳 on  




朱鷺色の夕暮れに
瞬きもしないで
君は 何を見てる

無機質な街に波打つ
褪せた雑踏の連写と
刻一刻と落ちてゆく
無慈悲な空の明度

巨大なビルの迷宮が
僕らを呑み込んで浮かべる
冷淡な微笑みに ナイフを突き立てて
風に逆らう翼

受理の無い紙片など
意に介すること無く打ち捨てた

それは
君が従えた
静かなる反撃








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