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Forestier

Raindrops

Posted by 蘇 芳 on  



庭を打つ雨に
僕は何もできないまま
窓越しに君の花をみていた

あとからあとから降る雨は
この部屋の時間軸を狂わせる


潮騒に変わる雨
雲間から射す光
跳ね上がる波の向こうに
不意に君は現れる


眠りでもない
現実でもない
そんな不確かな世界の罠に
どうして僕は
囚われるのだろう









with

Posted by 蘇 芳 on  





夏至の闇で
指切りをした
あの時の約束が
仄かにゆれる


舟を送る篝火の群れ
眠りを誘う不規則な波紋


月を隠す叢雲を見上げて
跳ねる魚に怯えたのは僕

埋まらない喪失感と
正体のない痛みに
躊躇なく触れてくる秋の使者は
君の仕業だと

知っている


巧みに隠された一線を
僕が超えないように
優しく糺す
守り人


will you be there


その跡形を辿りながら



此岸にて
君を恋う






前 夜

Posted by 蘇 芳 on   7 

冥府の話をしよう



今夜
時鳥が啼いたら
あの水辺へおいで

銀繻子の月が照らす
御影に刻まれた名を唱えて
夜気を吸い込んだ
蔓薔薇にはキスを

時折
激情の箍を緩めようとする風が
悪戯に罠を張るけれど
惑わされないで

魔除けのセイジは
そういう意味

渡し守が鈴を鳴らす
夏至の前夜
眠りから目醒める庭
放たれる比良坂の門

冥府を出ることを許された
彼の幽霊が
君を待つ













彼岸ニ至ル

Posted by 蘇 芳 on   6 



下弦の夜に
舟を浮かべて
君を迎えに行く

幻でもいい
君に会えるなら
それで僕は救われる

約束だよ
白い花がゆれる
岸の門を開けて
どうか
待っていて








Posted by 蘇 芳 on   3 




沢の音を弾いて
危なげな足取りでやってくる
笹の葉で指を切らないように
あれほど云ったのに

ぼんやりと燈る提灯には
君が愛した薄墨の藤

秋蜩の声が終わる前に
早く庭へお入り












水無月

Posted by 蘇 芳 on   2 


蛍火の池
烏瓜の花咲く闇の中で
魚が弾くしぶきに
耳を傾ける人

腕に残る幻影は
無防備な記憶に棘をうめたまま

咲きつづける花

変わらない光の角度

カラクリは暴かれているのに
この庭に夏は来ない





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